2012年2月22日 (水)

「絆」の全否定! 4

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 メインは阿修羅
vsハヤト軍(仮)だったが、阿修羅の狂気は止まらない。場外でハヤト選手が耳から流血!(後日、耳は半分ちぎれていて手術したとのハヤト選手のツイッター投稿あり)リング上で野橋選手が、更にハヤト選手の耳を引きちぎらんばかりに攻撃する。

 最後は、もう完全にKO状態の卍丸選手を、すぐにフォールにいかず、とどめのドラゴンスープレックスホールドを放って拳王選手が勝利。悲鳴とブーイングが飛び交う場内。拳王選手はかまわずマイクを握った。

 

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「オイ、いいか、仙台のオマエら、そしてハヤト君、俺たちが新たな歴史を築いていく阿修羅だ(客席からブーイング)。オマエらな、この寒い仙台にいるから、そんなに元気がないのか?(客席から『阿修羅なんて古いんだよ、名前が!』という声が飛ぶ)とりあえず、オマエにひとこと言ってやる。オマエは本当の阿修羅の意味がわかってない。それはな、中学、高校と教員免許を持っている俺にあとから聞きに来い。それともうひとつ言ってやる、オマエら、バカどもと違って、俺は東京の有名な大学、なんと東京六大学・明治大学出身だ。オマエらみたいなバカなヤツ、俺の頭にはかなわないからな、文句は言ってくるな(大ブーイング)。オイ、最後にいいか。このリング、もっともっとかき乱して、そしてこのリング、もっともっと狂気に変えてやるからな。オマエら、覚悟しとけ。いいか、これからは俺たち阿修羅についてこいよ」

 

 正直笑った。私は会場の空気も読まず一人で大爆笑していた。痛快である。

 かつて自らの学歴をひけらかして観客の反感を買ったヒールがいただろうか。「学歴」という、ヒールとしての空き部屋に目を付けた拳王選手が痛快だったのだ。事実、この前代未聞のやりとりで、拳王選手は「学歴ヒール」の名をほしいままにした。

 

 冷酷非情な「学歴ヒール」に率いられた、刺激と狂気に満ちた武闘派ユニット「阿修羅」。彼らはまず、九龍の絆をずたずたに切り刻み、解散に追い込んだ。返す刀で正規軍の絆もあっさり切り捨て、そして仙台でなんと観客との絆さえ断ち切ってしまったのだ。

 

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 仏教では「阿修羅」は怒りの象徴とのことである。その生命状態は決して心地よいものではない。怒っているより、笑ったり感動したり、心穏やかに過ごしたりしている方がいいに決まっている。だがしかし、悩み苦しんだり絶望したり悲しみに打ちひしがれた状態から脱却するには、怒りだろうと何だろうと、まずエネルギーが必要だ。怒りは、もがき苦しむ中から外へ向かって爆発するエネルギーを持っている。

 

 口先だけの、きれいごとの「絆」なんか要らない。

 仲間内で傷をなめ合うような「絆」なんか要らない。

 2012年、みちのくプロレスは、怒りのエネルギーを推進力にして力強く前進する。

 私はそう確信している。

 

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 ふと…阿修羅像の声が聞こえた気がした。

「東北をなめるな!」

 

 

注:試合結果および選手のコメントは(本文に注を付したものを除き)週プロモバイルから引用させていただいた。

24OOGAMANIA25日仙台の写真はサルマタキングさん撮影のものを使わせていただいた。心より感謝申し上げる。

 

 

【追記】

 蛇足ながら、私は、個人的には阿修羅は長続きしないだろうと思っている。また、長続きしなくてもよいとも思っている。理由は本文に記したとおり、阿修羅の目的は、みちのくのリングに刺激と狂気をもたらすことであって、ユニットとしてのまとまりはかけらも重視していないからである。5人はそれぞれが「個」であり、お互いに利用し合う関係であることを重々承知した上で集まっている。

 私は、阿修羅をきっかけとして、みちのくプロレスに新たなムーブメントが起これば、それで阿修羅の役割は十分果たしたことになると考えている。

 変化しなければ前進はない。変わらないことは停滞ではなく、後退なのだから。

 

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「絆」の全否定! 3

 翌115日(日)のメインは、昨夜の因縁から組まれた、ハヤト&日向寺vs拳王&野橋のタッグマッチである。

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 壮絶な攻防の末、ハヤト選手が野橋選手から
3カウント。見事仕返しを果たし、堂々と勝ち名乗りを受けるはずだった…

 が、なんとパートナーの日向寺選手がハヤト選手へ一斗缶攻撃。連日の悪夢にどよめく矢巾。「仲間」とは日向寺選手だったのか…。孤立するハヤト選手を救い出したのは、舎人一家の二人(南野タケシ選手と卍丸選手)だった。

 

 ああ、こういう勢力図になるのか…と思ったその時、みちプロ会場では聞いたことのない、だが聞き覚えのある入場曲が鳴り響いた。これは…やはり…

 20111211日(日)の後楽園大会で岩手追放になった佐藤兄弟…ではなく、バラモン兄弟が水を撒き散らしながら入場してきたのだ。間違いない、コスチュームもバラモン仕様である。歓声と悲鳴が渦巻く矢巾町民総合体育館。

 予感は的中した。まさに拳王選手の言った「刺激」と「狂気」が、ここに揃ってしまったわけだ。

 

 バックステージで、拳王選手は新ユニットの名を「阿修羅」である、と発表した。ハヤト選手は九龍の解散と、今後は舎人一家の二人と組んでやっていくと話した。

 

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 この
2日間のあまりの激動に、場内の動揺が収まらない。そんな不穏な空気を一気に丸く和ませてくれたのが、ウルティモ・ドラゴン校長とラッセ選手だった。

 一連の流れにすっかり取り残され、行き場を失った二人(一応九龍)。途方に暮れて、なんともすっとぼけたやり取りをしているところへ、サスケさんが助け船を出した。ほんわかしたショートコントの末、二人はめでたく正規軍への復帰が決まった。

 このやり取りのおかげで何となくハッピーエンドになり、ともかく怒涛の矢巾2daysは終わった。

 

 24日(土)OOGAMANIA番外編!!

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 OOGAMANIA
は通常、地元在住の選手を中心とした無料の大会だが、この日は「番外編」と銘打って参戦選手も多く、有料で行われた。対戦カードは事前に発表されており、そこに拳王選手の名前はなかった。

 第1試合の若手選手同士のシングルマッチに続いて、第2試合では正規軍に復帰したラッセ選手が登場。鮮やかなオレンジ色のコスチュームに一新し、はつらつとしたファイトを展開した。そして、かつての「絶好調男」復活をアピールするかのように、マバタキで勝利。場内の大歓声を浴びた。ラッセ選手には明るい色がよく似合う。

 

 メインの第3試合は、「阿修羅の」野橋選手・日向寺選手と舎人一家との対戦だ。阿修羅の二人はコスチュームを一新。ハッと息を飲むような揃いの真紅のコスチュームで、どことなく和テイストを感じさせるデザインだ。野橋選手の一斗缶も赤に塗り替えられている。

 試合は予想通り大荒れに荒れたが、最後は日向寺選手が卍丸選手を、野橋選手の構える一斗缶にぶつけてから抑え込んで勝利した。

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 終了後、私服姿の拳王選手が登場し、

「塁、野橋、ご苦労様。…これから俺たちがこのリングを占拠して、もっとお前らに刺激を与えていくから、楽しみにしとけ…」(筆者のツイッター投稿より)

と言い放ち、3人でアピールをして終了した。

 

 翌25日(日)Zepp Sendai大会

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 セミに登場したバラモン兄弟は、バラモンデザインでありながらも阿修羅仕様の真っ赤なコスチューム。頭巾を取ると、ざんばら髪を後ろで束ね、どことなく侍の雰囲気を漂わせている。水噴射やお告ゲル攻撃はあったものの、みちのくでは今まであまり見せたことのない関節技も多用し、最後はケイ選手がなんと腕ひしぎ十字固めでヤッペーマン
2号選手からギブアップ勝ちを奪ったのだ。

 この一戦で、武闘派ユニットとしての阿修羅を強烈に印象付けた。

(つづく)

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「絆」の全否定! 2

9.(メイン)×日向寺塁vs○拳王 ※右ハイキックからKO 拳王選手が新王者に。

 

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 ふたを開けてみればどちらが王者かわからないほど、拳王選手は圧倒的に強かった。最後は、かつてハヤト選手からベルトを奪取した時と同じ右ハイキックでノックアウト。リングに崩れ落ちた日向寺選手は立ち上がることなく
10カウントを聞いた。こうして拳王選手は2度目の王座に就いた。

 と同時に54敗で正規軍の勝利も決まった。マイクを持った新チャンピオンは、九龍に解散を突きつけた。これに対しハヤト選手は、拳王選手とのシングルでの決着戦を要求し、現みちのくの黄金カードが実現するかと思われたのだが…

このやりとりに割って入ったのが野橋選手だった。

 

「ハヤト、お前どのツラ下げて言ってんだよ!?おまえが剣舞に勝ってればよ、俺ら九龍の勝ちだったんじゃねーのかよ!」

 

 せっかく自分が金星をあげて九龍勝利への道筋を作ったのに、ハヤト選手のせいで負けてしまった。その責任も取らないで…。野橋選手の心中は容易に察することができる。

 

 ところが、そんないざこざを尻目に、今度は正規軍に勝利をもたらしたばかりの拳王選手が爆弾発言を投下したのだ。

 

「…(前略)…俺としての正規軍の仕事は今日で終わりだ。これからは俺がこのみちのくのリングの新しい歴史を作る。来年の矢巾だ。その答えが出るから、お前ら楽しみにしとけ。…(後略)…」

 

 これは、…どういうことだ…

 

 明けて2012年。日本は復興に向けて歩みを進める年を迎えた。

みちのくプロレスは114日(土)と15日(日)に、初の矢巾2daysで戦い初めとなった。

 今までなら週末土曜夜の矢巾、日曜昼の仙台という日程だったのだが…

 仙台の会場として使用していた仙台港「アクセル」は、津波の被害を受けた。建物は残っているものの、いまだ再開には至っていないという。アクセルを失ったことによるみちプロのダメージは大きい。実際、仙台での主催興行(イベント試合は除く)は117日のZepp Sendai大会まで、長い時間を要した。仙台だけではない。岩手・宮城の沿岸部での大会はまだ行われず、福島に至っては、震災以降県内では一度も行われていない(共にチャリティーやイベント試合は除く)。(20122月現在)

 昨年、自らのホームグラウンドである東北に甚大な被害を受けたみちのくプロレスは、今まで通りの興行が行えないハンディに対し様々に工夫を凝らし、仙台の代わりに秋田・八戸・山形などで大会を開催したり、ツアーの代わりに大釜で道場マッチを連続開催したりするなどした。嘆いてばかりはいられない、生きていかなければならないのだ。プロレス団体がプロレスの興行を行えなければ、それは死活問題になる。

 

 話を元に戻そう。

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 2012
114日(土)新年最初の矢巾大会は、郡司歩選手デビュー戦、沼二郎さんの新曲発表、TAKAみちのく選手・房総ボーイ雷斗選手の特別参戦と、華やいだ雰囲気の中で進行していった。

 空気が一変したのはやはりメインだった。

 現世代のみちのく・ザ・ベストとも言うべき、正規軍vs九龍の6人タッグマッチである。例によって会場全体を戦いのフィールドとして大パノラマファイトが繰り広げられる。剣舞選手と野橋選手のスピーディーな攻防、日向寺選手のパワー、ken選手の巧さ…そして、ハヤト選手と拳王選手の蹴り合いの迫力に場内はおのずとヒートアップしていく。

 終盤、野橋選手が一斗缶を振りかざした。拳王選手、危うし!…ところが、野橋選手がまっすぐ振り下ろしたのは、「ハヤト選手の頭部」だった。これは誤爆ではない。

 野橋選手がとどめを刺すようにもう一発見舞うと、グロッギー状態のハヤト選手を踏みつけた拳王選手がふてぶてしい表情でアピールし、そこで3カウントが入った。

 

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 空気が、凍りついた。

 事態はこれだけでは収まらない。拳王選手につかみかかっていったken選手に対しては、訣別のドラゴンスープレックスで返り討ちにした。

 

 拳王選手と野橋選手がまさかの結託。さらに、翌日には仲間を連れてくるという。キーワードは「刺激」と「狂気」。この単語から思い浮かぶのは「彼ら」しかいない。だが、それはあまりにも今までの図式からはかけ離れていて、想像できない…まさか…本当に、そうなのだろうか…

 

(つづく)

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「絆」の全否定! 1

 ご承知の通り、昨年(2011年)の漢字は「絆」であった。

 東日本大震災では多くの尊い生命が奪われ、多くの方々が家や財産や職を失い、今なお不自由な暮らしを強いられている。

 震災をきっかけに日本中の人々が人と人との絆、特に家族の絆の大切さを再認識し、若いミュージシャンが次々に家族への愛を歌った楽曲をリリースした。

 

 こんな状況を見ると、まだ非常時なんだな、と思う。

 大きな困難に見舞われた時、家族はお互いを守り合って乗り切っていかなければならないだろう。だが、さあこれから生活を再建しようとする時、家族が互いの顔を見合っていつまでも嘆いていては前に進めない。外へ向かって一歩踏み出さなければ何も変わらないのだ…

 

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 九龍といえば、みちのくプロレス史に残る超人気ヒールユニットである。ヒールとはいえファンからの支持は絶大で、中でも若い世代からの熱狂的な声援を集めていた。

 いわば九龍は、みちプロにおける「絆」の象徴だった。それは、リーダーであるフジタ”Jr”ハヤト選手が、常にメンバー相互のつながりや信頼関係を大切にしてきたためで、実際九龍は、正規軍にはない結束力を誇ってきた。東京・新木場1stリングで行われた九龍興行では、メンバー同士の容赦ない激しい戦いが繰り広げられたが、それがかえって厚い信頼関係を浮き彫りにし、ハッピーでアットホームな雰囲気で締めくくられたものだ。

 

 だが…

 2011115日(土)に聖地・矢巾で行われた九龍vs正規軍全面対決で、一枚岩だったはずの九龍の結束に亀裂が生じた。

 この日はメインの東北Jrタイトルマッチを含めシングル9試合が組まれており、正真正銘の決着戦となった。

 

1.○KAGETORAvs×大柳錦也 ※一騎当千

2.×佐藤恵vsken45° ※場外KO勝ち

3.○ラッセvs×ヤッペーマン1号 ※ジャガラギ

4.○卍丸vs×佐々木大地 ※卍落とし

5.×南野タケシvs○ヤッペーマン2号 ※丸め込み

6.×佐藤秀vs○気仙沼二郎 ※気仙沼落とし

 

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 第
6試合まで終わって33敗で双方譲らず。

7.○野橋太郎vs×ザ・グレート・サスケ ※一斗缶攻撃

 

 第7試合はサスケ選手有利かと思われたが、野橋選手がレフェリーのブラインドをついての一斗缶攻撃からのフォール勝ち。汚い手を使いながらも大金星をあげた。次の試合でハヤト選手が勝てば、メインを待たずして九龍の勝利が決まる。

 

8.(セミ)×フジタ”Jr”ハヤトvs○剣舞 ※月食(丸め込み)

 

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 九龍のエース・ハヤト選手の勝利はまず間違いないだろうと、双方のファンが思ったその時、一瞬のスキをついて剣舞選手がハヤト選手を丸め込み、
3カウントが入った。これで44敗の五分。エースのまさかの敗北にどよめく場内。

 

 メインは東北Jrヘビー級タイトルマッチ。王者・日向寺塁選手に拳王選手が挑戦したのだが…

 

(つづく)

 

 

 

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2010年11月25日 (木)

敗因は「知名度」 3

私は、読みを誤っていた。

サスケさんの取材に来た大勢のマスコミの前で、拳王選手が強さを見せつけて堂々と防衛し、「みちのくプロレスの拳王」の名がそれで一気に広まると考えたのだ。

だが、勝負の世界は甘くない。

己の地位は己で上げるしかないのだ。

確かに「知名度」では、拳王選手は勝てない。

ただし現時点では、だ。

キャリアの差は埋められないが、知名度も含めその他の要素は、自身の行動でこれからいくらでも身につけていける。

拳王選手は、これからどうするのだろう。

『週刊プロレス』№15532010.12.8)には、次のような拳王選手のインタビューが掲載されている。

  「俺のなかでは負けてないって気持ちは変わらないけど、この結果から得る

  ものもあるだろうし、この1年チョイ持ってたベルトを失った自分がどうい

  う動きをするのか、すごく楽しみにしてくれてる人もいると思うけど、それ

  は楽しみのまま、自分の行動を見ていてくださいと。言葉じゃなく、行動で

  示すから」(p.97)

  「自分は信念を持ってこのリング、この世界で生きてるんで。それを曲げる

  つもりはないです。自分が団体を引っ張っていると思ってるんで。みちのく

  の中心にいるのは自分ですから」(p.97)

誰よりも「強さ」を追い求め、そのための努力を惜しまない拳王選手のことだから、これからなおいっそう強くなっていくことは間違いない。

拳王選手なら、私たちの期待以上のことを必ずやってくれると、私は信じている。

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敗因は「知名度」 2

振り返ってみれば、この日は「ザ・グレート・サスケ・デー」であった。

事前に告知のあったサスケさんのドキュメンタリー映画のカメラが回り、デビュー20周年の節目にタイトルに挑戦するベテランレスラーの取材に、地元岩手のメディアはもとより、宮城の河北新報の記者も取材に来ていた。

リングサイドには数多くのカメラが林立し、近年のみちプロ会場にはない、ちょっと異様な光景が見られた。

これほど多くのメディアが集まった理由は何か。

答えは簡単だ。サスケさんが有名人だから、これに尽きる。

“あの”ザ・グレート・サスケさんが、今年デビュー20周年を迎えた。

“あの”ザ・グレート・サスケさんの「みちのくプロレス」が岩手県営体育館でビッグマッチを行う。

“あの”ザ・グレート・サスケさんが、そのメインで40歳を超えてタイトルに挑戦する。

いまさら言うまでもないことだが、プロレスは見たことがないという人でも「ザ・グレート・サスケ」は知っている、という人もいる。

だからこそ、ニュースのネタになり得ると判断し、多くの一般マスコミが来たのだ。

そして、主役のサスケさんを引き立てるのにうってつけの脇役が、拳王選手だった。

満身創痍のベテランの挑戦者の前に立ちはだかる、若くて強くて勢いのあるチャンピオン。

拳王選手は立派に主役を引き立てた。

(つづく)

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敗因は「知名度」 1

沼二郎さんが泣いていた。リング上で、たった今、新チャンピオンになったばかりのサスケさんの傍らで。

2010年11月7日、みちのくプロレス岩手県営体育館大会のメインが終わった。

私はその光景を、フィルターを通して見るように、白い靄がかかった状態で見つめていた。

会場全体が祝福の声に包まれ、大会はハッピーエンドを迎えた。

一方、敗れた前チャンピオンは、試合終了直後にはレフェリーにつかみかからんばかりの猛抗議をしたが、裁定が覆らないとわかるとがっくりと肩を落とし、試合で痛めた右肩をかばいながらセコンドの選手に支えられて、無言で退場した。

拳王選手はなぜ負けたのだろう。

キャリアの差、経験不足、油断…

さまざまな要因が考えられるが、どれもしっくりこない。

キャリアの差で負けたのなら、デビューして2年8か月の選手が、1年以上ベルトを守り続けた実績をどう説明するのか。そして、キャリアの差だけで勝負が決まるのなら、サスケさんが現役でいる限り、拳王選手にはどう頑張っても埋められないではないか。

また、経験不足と言われるが、拳王選手は修行中の1年間に、他に類を見ないほどの試合数をこなしてきている。

油断、はもしかしたら多少あったかもしれない。

試合は終始拳王選手のペースで進んでいた。途中、あまりにもやられっぱなしの挑戦者に対して、物足りない気持ちから、

「こんなもんか、オイ!」

と苛立ちを爆発させる場面も見られた。

それで、必殺の右ハイキックを出し惜しみした、ように感じられた。

少しでも追い詰められていたなら、危機感を感じて、ラッシュをかけて攻め込んでいったら、休む間もなく右ハイキックで勝負を決めていただろう。

だが、この日は無用な「ため」があったのだ。それほど拳王選手は圧倒的に強かった。その「ため」を感じ取ったサスケさんが、右ハイキックをとっさにかわし、最後の力を振り絞るように、なりふりかまわず丸めこんで3カウントを取ったのだ。

(つづく)

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2010年10月31日 (日)

11・7の極私的見所2

5.特別試合 正規軍対九龍デスゲーム~4カウントルール

  ディック東郷&Ken45°&大柳錦也vsウルティモドラゴン&野橋太郎&南野タケシ

4カウントルールというものがどういうものなのか、私自身よく理解していないので、観てみないとわからない、というのが正直なところだ。

が、メンバーを見ると、先日衝撃の正規軍入りを果たしたKen選手がどう戦うか、が気になる。対九龍というよりも、私は大柳選手との連携が楽しみだ。

この二人のシングルは、以前から通好みのカードと言われ、歓声や悲鳴ではなく、「おお!」「うーむ…」といった声が聞かれる、みちのくでは珍しいカードだった。手が合う、というのだろうか、戦っている二人も何となく楽しそうに見えた。その二人が組んだらどうなるか。通好みのシブイ連携を、ぜひ見せてもらいたい。

ディック東郷選手とウルティモ・ドラゴン選手は、もうその姿を見るだけで、価値がある。内容うんぬんよりも、その存在感を肌で感じたい。

6.ザ・グレート・サスケ20周年特別記念試合「東北ジュニアヘビー級選手権」

  (王者)拳王vsザ・グレート・サスケ(挑戦者)

この試合は、勝敗ではない。

サスケさんの世界に、拳王選手が飲み込まれないこと、がポイントだ。たとえ会場全体がサスケワールドになっても、拳王選手は孤独に戦い続ける。そして勝つ。

スポーツの世界では時々、「記憶に残る選手と記録に残る選手」という言葉を目にする。

サスケさんは確実に「記憶に残る選手」を目指していて、現にそうなりつつある。

一方、拳王選手は強さを最大の価値とし、そのためには防衛回数を重ねることしかない。

今までの挑戦者は、勝ちに来る相手だったので倒せばよかったのだが、今回はそうではない。相手を倒して勝った時の、会場の空気がどうなっているのか、全く予想できない。

だが、拳王選手が真の絶対王者となるためには、通らなければならない道であると、私は思う。

今回は、サスケさんのデビュー20周年記念なので、締めのマイクはサスケさんだろうが、「サスケさん、20周年おめでとう!」とともに「やっぱり拳王すごいっ!」の声が観客から自然にあがれば、みちのくプロレスとしてこの大会は成功と言えるのではないだろうか。

とにかくあと1週間。楽しみは確実に近づいてきている。

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11・7の極私的見所1

今年の6月以降の流れを振り返ったところで、11月7日の見所を全く個人的な観点から述べておきたい。

【11月7日 岩手県営体育館大会 対戦カード】

1.佐々木大地vsラッセ

今年6月にデビューした佐々木大地選手が、地元での大舞台でどれほどの成長ぶりを見せることができるか。そしてラッセ選手が、先輩としてどのくらい大地選手の負けん気に火をつけられるか、に期待したい。

2.ヤッペーマン1号&2号&剣舞vs佐藤秀&佐藤恵&大間まぐ狼

この試合のキーマンは剣舞選手。ヤッペーマンズはタッグタイトルを取って勢いに乗っているし、佐藤兄弟の連携は誰もが認めるところ。まぐ狼選手のシングルプレイヤーとしての実力も、ファンにはよく知られている。

この中で、実績がないのは剣舞選手だけだ。だが、この秋、サスケ選手のパートナーとしてNOAHに参戦。その経験をみちのくのリングにどう還元できるか、に注目である。

※小ネタ的一言。佐藤兄弟の水は、縁起物なので浴びておくことをオススメする。カメラ等精密機器は避難させておいて、あとはタオル持参で臨んではいかがかと。

3.新崎人生&TAKAみちのくvs気仙沼二郎&シーサー王

沖縄プロレスからシーサー王選手が参戦!中の人的には久々の帰省となる。キャリア的には4人の中で一番短いが、現時点での存在感は抜群(つまり体重が)。全く見劣りするところはない。新崎さんとのド迫力のぶつかり合いだけでも見る価値あり!の一戦。

TAKAさんと沼二郎さんは、お互いをよく知っているだけに、それぞれの本来の持ち味を引き出そうとする展開になってほしい。いなしたりすかしたり、ちゃらけたりするのではなく、20年近い思いを、あの広い会場に響くほどぶつけてほしい。

4.日向寺塁vsフジタJrハヤト

個人的には、この試合にかなり注目している。

去年までは、脇役的なイメージだった日向寺選手だが、今年に入ってめきめきと頭角を現し、今ではメインイベンターとしてのたたずまいも身につけてきた。

9月には復帰したばかりのハヤト選手に対抗心をあらわにし、両者流血の事態に。これでますます因縁が深まり、このカードが決定した。

その後も日向寺選手は進化を続け、先の滝沢大会では重厚感たっぷりのムーンサルトプレスを初披露し、攻撃に更に破壊力を加えた。

このシングル、ただでは終わらない、と私は見ているのだが、果たして…

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みちプロ2010年後半の流れ2

【9月4・5日:矢巾・仙台】

・ハヤト選手復帰。

・日向寺選手がハヤト選手に県営でのシングルを要求!ハヤト選手も承諾。

・拳王vs南野たけし 拳王選手防衛!

・次の挑戦者に名乗りをあげたのは…サスケさん!

【秋のミニシリーズ】

9月18日:気仙沼

9月19日:三川町

9月20日:能代

【10月2日:網地島】

・第2回も、海辺というロケーションを最大限に生かしたパノラマバトルが繰り広げられた模様。

【みちのく二人旅2010】

〔10月10日:秋田〕

二人旅1回戦

・ヤッペーマンズが佐藤兄弟から大金星!

・サスケさんが、バンドメンバーとしてken選手に目をつける。

〔10月11日:八戸〕

二人旅2回戦

・ヤッペーマンズ、連日の九龍撃破で決勝進出!

・サスケさん、ken選手の心をぐらつかせるモノを持ってくる、とバンド勧誘に自信満々の様子。

〔10月15日:滝沢〕

二人旅決勝&東北タッグタイトル戦

・ヤッペーマンズが南野&まぐ狼組に勝ち、二人旅優勝!そしてタッグ王者に!

・日向寺選手が重爆ムーンサルトを初披露!ハヤト選手への敵対心むき出し!

【10月23日:新木場・九龍興行】

・サスケvsken45°の条件マッチにken選手が敗れ、サスケバンド(仮)加入&正規軍入り!

・赤丸急上昇中の日向寺選手、この日も重爆ムーンサルトでハヤト選手に強烈アピール!

このように見てくると、今年前半のウルティモさんの九龍入り以来、しばらくは大きな動きがなかったような気がする。

波が起こったのは、二人旅だ。まずはヤッペーマンズの初戴冠。そして、サスケさんの、ken選手への執拗な(笑)バンド勧誘。

忘れてならないのは成長著しい日向寺のハヤト選手へのアピールと重爆ムーンサルトだ。

必然的に、岩手県営ではこのあたりの選手がキーマンとなってくるだろう。

次項では、11月7日の極私的見所分析を試みよう。

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